借入金の返済は経費(損金)にはならない

こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。

今回は、借入金返済のお話です。

お客様の中には、減った現預金は軽費(損金)になると勘違いされている人が稀にいます。

「預金が減ったから経費だろ!」
という気持ちも分からなくはないのですが、借入金の元金部分の返済は資産と負債がそれぞれ減るだけで、損益に影響はありません。

借入金の返済は税務会計上どうなっているのか、簿記の考え方も含めて簡単に解説します。

【この記事でわかること】
♦資産・負債・収入・経費
♦借入をした時の会計処理
♦借入を返済した時の場合の会計処理

資産・負債・収入・経費

損益を計算する上で重要なのは、取引項目が、「貸借対照表」に計上される項目なのか、「損益計算書」に計上される項目なのか、という点です。

「貸借対照表」とは、現預金や売掛金など資産項目や、借入金や買掛金などの負債項目を表示する財務諸表であり、損益には影響を及ぼさないストック項目を表示する資料です。

「損益計算書」とは、売上などの収入項目や、仕入や人件費などの経費項目が表示される財務諸表であり、その収支で損益を計算する資料です。

これらの項目を会計処理する場合、必ず右と左に数字が出てきて、右の数字と左の数字は必ず一致します。

左に計上される項目としては、
・資産項目(現金、売掛金など)
・経費項目(仕入、人件費など)
が挙げられます。

右に計上される項目としては、
・負債項目(借入金、買掛金など)
・収入項目(売上など)
が挙げられます。

例えば、現金で100円の商品を売り上げた場合には、
現金が100増えて、なおかつ売上が100円計上されますので、
(現金)100円 / (売上)100円
と会計処理を行うこととなります。
※左に資産項目、右に収入項目。左右一致。

借入をした時の会計処理

例えば500万円の借入をした場合の会計処理は、
(現預金)500万円 / (借入金)500万円
と計上されます。
※左に資産項目、右に負債項目。

つまりは、借入によって負債が増えると同時に、現預金という資産も増えることになります。

現預金(資産)も借入金(負債)も貸借対照表の項目であり、損益に影響を及ぼしません。

ちなみに、借入返済を行った場合に返済金額が経費になるのであれば、借入金額が収入にならなければ辻褄が合いませんが、「預金が減ったから経費だろ!」と捉えてしまう事業主の方は、借入時のことはスッポリと頭から抜けてしまうことが多いように感じます・・・。

借入を返済した時の場合の会計処理

元金返済の考え方

会計処理の原則として、
・資産項目(現預金)は右
・負債項目(借入金)は左
と言いました。

これは、その項目が増えるときの会計処理であり、
減らす場合は左右逆になります。

したがって、借入金を返済する場合には、
(借入金)500万円 / (現預金)500万円
と計上され、現預金と借入金が両方とも500万円減るという会計処理になります。
※右に資産項目のマイナス、左に負債項目のマイナス。

このように処理されることによって、借入時に右に計上された借入金は、返済時に左に計上されることによって貸借対照表上相殺されることになります。
借入だけに着目すると、

<借入時>
(現預金)500万円 / (借入金)500万円
※負債の増加
<返済時>
(借入金)500万円 / (現預金)500万円
※負債の減少
となります。

いままでの会計処理を見てお分かりになる通り、一切「損益計算書」に計上される経費項目が出てきていません。

したがって、借入返済については、損益に影響はありません。

借入利息を考慮した場合

借入返済は損益に影響を及ぼさないと言いましたが、借入に対する支払利息は経費項目に該当します。

借入をすると、その金額や期間に応じて利息が発生します。

通常、借入金を返済する際に利息を合わせて支払います。

例えば、500万円の借入金を返済する際に、併せて10万円の利息を支払ったとします。

(借入金)500万円 / (現預金)500万円
※左に負債項目のマイナス、右に資産項目のマイナス。
(支払利息)10万円 / (現預金)10万円
※左に経費項目、右に資産項目のマイナス。

したがって、支払利息10万円については、経費が計上される(利益が減る)ことになります。

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