こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。
所得税の確定申告も先が見え始めてきて、ホッとしている今日この頃です。
さて、今回は、事業者が雑誌や新聞の年払い(1年分)を行ったときのお話です。
もしかしたら、勘違いされている人もいるかもしれないので、簡単にまとめます。
短期前払費用の仕組みについては、過去の記事をご参照ください。
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短期前払費用とは
例えば決算月に1年分の家賃を支払った場合、原則的な取扱いとしては、1か月分を当期の費用にして、残り11か月分は翌期の費用として繰り延べる必要があります。
ただし、下記の要件を満たす場合には、前払費用の特例処理として支払った1年分の費用を当期に計上することができます。
①前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものであること
②等質・等量の役務提供であること(時の経過によって対価が変化しないもの)
③毎期継続して支払った日の属する事業年度の費用(短期前払費用)にしていること
④金額の重要性(企業会計上の「重要性の原則」)が乏しいもの(収益の計上と対応させる必要が無いもの)
②については、例えば税理士の顧問料は、その月々で役務内容が異なる(等質・等量の役務提供ではない)と考えられるため、短期前払費用の適用は認められないと考えられます。
(短期の前払費用)
法人税基本通達2-2-14
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加、昭61年直法2-12「二」により改正)
(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。
雑誌等の年間購読について
雑誌や新聞の代金を1年分前払した場合、それは「役務提供」ではなく「譲渡」に該当するため、短期前払費用の適用は認められず、支払時の費用処理は認められません。
ただし、電子版の場合は取り扱いが異なります。
雑誌や新聞の電子版については、電気通信回線を介して行われる役務の提供である「電気通信利用役務の提供」に該当し、「譲渡」には該当しません。
したがって、雑誌や新聞の電子版については、短期前払費用を適用することが認められることとなります。
また、新聞について、紙版と電子版の消費税率が異なる理由は、あくまでも軽減税率8%に該当するのは「譲渡」であるため、「役務提供」である電子版については軽減税率の対象外となることも、その違いがあるためです。
消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)
(電子版の新聞)
問101
インターネットを通じて配信する電子版の新聞は、軽減税率の適用対象となりますか。
【答】
軽減税率の適用対象となる「新聞の譲渡」とは、一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する新聞(1週に2回以上発行する新聞に限ります。)の定期購読契約に基づく譲渡をいいます(改正法附則 34①二)。
他方、インターネットを通じて配信する電子版の新聞は、電気通信回線を介して行われる役務の提供である「電気通信利用役務の提供」に該当し、「新聞の譲渡」に該当しないことから、軽減税率の適用対象となりません(消法2①八の三)。国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-01.pdf#page=75