イベント割に関する税金の話

こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。

2022年10月11日から(2023年1月31日まで)イベント割が始まりました。

チケット通常価格の2割相当分(上限アリ)が割り引かれるということですが、販売事業者側と消費者側とで税金に関する注意点があります。

その点について、簡単に解説します。

【この記事でわかること】
♦チケット販売事業者の税金
♦消費者(チケット購入者)の税金

イベント割とは

チケットの割引等により、コロナ禍の影響を受けているイベント産業を支援することを目的とする事業が開始されました。

ワクチン接種証明や検査証明などを活用することで、我々消費者は割引価格でチケットを購入することができます。

実施期間:2022年(令和4年)10月11日~2023年(令和5年)1月31日
給付対象:ワクチン接種履歴又は陰性の検査結果を有する消費者(法人や個人事業者等は対象外)

イベント割の適用前に購入済みのチケットについては、本事業の適用対象外となるようです。

イベント割ホームページ⇒イベント割(経済産業省)

チケット販売事業者の税金

チケット販売事業者は、割り引き部分について、イベント割事業事務局へ給付金申請をすることにより、給付金を受けることができます。

具体的には、イベント終了後に割事業事務局へ販売実績報告(イベントの開催実績など)を行い、審査完了後に給付金が支払われることになります。

この給付金は、国や地方公共団体から交付される補助金や助成金等に該当するため、交付決定がされた日の属する事業年度に収益計上します。

法人税法第二十二条
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。

(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)
法人税基本通達2-1-42
法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費をほてんするために雇用保険法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。(昭55年直法2-8「六」、昭59年直法2-3「一」、昭63年直法2-14「一」、平12年課法2-7「二」、平23年課法2-17「四」、平30年課法2-28「二」により改正)
(注) 法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

(収入金額)
所得税法第三十六条
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。

消費者(購入者)の税金

消費者がイベント割を利用してチケットを購入した場合には、国から給付金相当額の便益(経済的利益)を受けることになるため、その部分は一時所得に該当することになるので、注意が必要です。
一時所得については、50万円の特別控除があるため、イベント割以外の一時所得(ふるさと納税の返戻品相当額、生命保険の解約返戻金、競馬等の払戻金など)が特別控除額を超えない限りは、課税の対象とはなりません。
<一時所得の計算>
総収入金額△収入を得るために支出した金額(※)△特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
(※)その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。
<総所得金額の計算>
一時所得の金額×1/2+他の所得金額=総所得金額
(課税標準)
所得税法第二十二条
居住者に対して課する所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。
2 総所得金額は、次節(各種所得の金額の計算)の規定により計算した次に掲げる金額の合計額(第七十条第一項若しくは第二項(純損失の繰越控除)又は第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)とする。
一 利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、譲渡所得の金額(第三十三条第三項第一号(譲渡所得の金額の計算)に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び雑所得の金額(これらの金額につき第六十九条(損益通算)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額
二 譲渡所得の金額(第三十三条第三項第二号に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び一時所得の金額(これらの金額につき第六十九条の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額の二分の一に相当する金額
3 退職所得金額又は山林所得金額は、それぞれ次節の規定により計算した退職所得の金額又は山林所得の金額(これらの金額につき第六十九条から第七十一条までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額)とする。
(一時所得)
所得税法第三十四条
一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。
2 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。
3 前項に規定する一時所得の特別控除額は、五十万円(同項に規定する残額が五十万円に満たない場合には、当該残額)とする。
(一時所得の例示)
所得税基本通達34-1
次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。(昭49直所2-23、昭55直所3-19、直法6-8、平11課所4-1、平17課個2-23、課資3-5、課法8-6、課審4-113、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114、平23課個2-33、課法9-9、課審4-46、平27課個2-8、課審5-9、平30課個2-17、課審5-1改正)
(1) 懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)
(2) 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)
(注)
1 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。
3 競輪の車券の払戻金等に係る所得についても、競馬の馬券の払戻金に準じて取り扱うことに留意する。
(3) 労働基準法第114条《付加金の支払》の規定により支払を受ける付加金
(4) 令第183条第2項《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金(業務に関して受けるものを除く。)及び令第184条第4項《損害保険契約等に基づく満期返戻金等》に規定する損害保険契約等に基づく満期返戻金等
(5) 法人からの贈与により取得する金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)
(6) 人格のない社団等の解散により受けるいわゆる清算分配金又は脱退により受ける持分の払戻金
(7) 借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料(その立退きに伴う業務の休止等により減少することとなる借家人の収入金額又は業務の休止期間中に使用人に支払う給与等借家人の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補填するための金額及び令第95条《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する部分の金額を除く。)
(注)
1 収入金額又は必要経費に算入される金額を補填するための金額は、その業務に係る各種所得の金額の計算上総収入金額に算入される。
2 令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する立退料については、33-6参照
(8) 民法第557条《手付》の規定により売買契約が解除された場合に当該契約の当事者が取得する手付金又は償還金(業務に関して受けるものを除く。)
(9) 法第42条第1項《国庫補助金等の総収入金額不算入》又は第43条第1項《条件付国庫補助金等の総収入金額不算入》に規定する国庫補助金等のうちこれらの規定の適用を受けないもの及び第44条《移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入》に規定する資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうちその交付の目的とされた支出に充てられなかったもの
(10) 遺失物拾得者又は埋蔵物発見者が受ける報労金
(11) 遺失物の拾得又は埋蔵物の発見により新たに所有権を取得する資産
(12) 地方税法第41条第1項《個人の道府県民税の賦課徴収》、同法第321条第2項《個人の市町村民税の納期前の納付》及び同法第365条第2項《固定資産税に係る納期前の納付》の規定により交付を受ける報奨金(業務用固定資産に係るものを除く。)
(注) 発行法人から株式等を取得する権利を与えられた場合(株主等として与えられた場合(23~35共-8参照)を除く。)の経済的利益の所得区分については、23~35共-6参照
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