経費(損金)になる租税公課と経費(損金)にならない租税公課

こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。

今回は、税金や罰金を支払ったときのお話です。

税金や罰金を支払ったときの勘定科目は、「租税公課」を使います。

税金と言えば、法人税、所得税、消費税、事業税など、いろいろあります。

罰金的な性質を持つものは、税金の延滞税や、駐車違反金などがあります。

これらの支払いは、基本的には経費(損金)になりませんが、ごく一部経費(損金)になるものがあります。

フリーランスと法人でほぼ共通してますので、メインどころを簡単に解説します。

【この記事でわかること】
・経費と損金の違い
・経費(損金)にならない租税公課
・経費(損金)になる租税公課
・実は経費(損金)になる租税公課

経費と損金の違い

「経費」と「損金」という単語についてですが、ザックリいうと、
・経費→所得税、会計
・損金→法人税
で使い分けがされています。

法人税の場合、日々の会計処理で経費として計上していても、法人税法上の経費とならないケースがあります。

法人税法上の経費となるものを、「損金」といいます。

したがって、フリーランスについては、会計処理を行ったものがそのまま所得税の計算につながりますが、
法人については、会計処理で経費計上していても、法人税の計算をする際に、法人税申告書で損金とならないものを外す(損金不算入)必要があります。

経費(損金)にならない租税公課

法人税法38条、所得税法45条で、経費(損金)とならない租税公課が規定されています。

(家事関連費等の必要経費不算入等)
所得税法第四十五条
居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
二 所得税(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を行う居住者が納付する第百三十一条第三項(確定申告税額の延納に係る利子税)、第百三十六条(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税)、第百三十七条の二第十二項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)又は第百三十七条の三第十四項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)の規定による利子税で、その事業についてのこれらの所得に係る所得税の額に対応するものとして政令で定めるものを除く。)
三 所得税以外の国税に係る延滞税過少申告加算税無申告加算税不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定による過怠税
四 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税及び特別区民税を含む。)
五 地方税法の規定による延滞金過少申告加算金不申告加算金及び重加算金
六 前号に掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
七 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
八 損害賠償金(これに類するものを含む。)で政令で定めるもの
九 国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金及び延滞金
十 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。)
十一 金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金及び延滞金
十二 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金及び延滞金
十三 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)の規定による課徴金及び延滞金

本税

・法人税
・地方法人税
・法人住民税(県税、市税)
・個人市民税
・所得税
など

国税の附帯税

・延滞税(滞納したときに課される税)
・過少申告加算税(納税額が足りなかった場合に課される税)
・無申告加算税(申告しなかった場合に課される税)
・重加算税(悪質な脱税をした場合に課される税)
・不納付加算税(源泉所得税を期限までに納付しなかった場合に課される税)
・印紙税過怠税(印紙を添付しなかった場合に課される税)
など

これらの附帯税は罰則的な意味を持ち、経費(損金)に入れると制裁的効果が減殺されてしまうため、経費(損金)とはしないこととなります。

地方税の延滞金等

・延滞金(納期限延長に係るものを除く)
・過少申告加算金
・不申告加算金
・重加算金
など

地方税の場合、「○○税」ではなく「○○金」と呼びます。

国税の附帯税と同様、これらは罰則的な意味を持ち、経費(損金)に入れると制裁的効果が減殺されてしまうため、経費(損金)とはしないこととなります。

刑法上の罰金等

・罰金(刑法)
・科料(刑法)
・過料(行政処分)
・反則金(行政処分)
など

交通違反の反則金などは、お客様のところでもたまに目にします。

これらも経費(損金)に入れると制裁的効果が減殺されてしまうため、経費(損金)とはしないこととなります。

経費(損金)になる租税公課

・特別法人事業税(地方法人事業税)
・法人事業税
・個人事業税
・税込経理における消費税
・納期限延長に係る利子税(単なる遅延は不可)
・納期限延長に係る延滞金(単なる遅延は不可)
・固定資産税
・不動産取得税
・登録免許税
・自動車税
・自動車重量税
など

事業税については、所得金額を課税標準としますが、儲けに対するものではなく行政サービスの対価と考えられるため、経費(損金)となります。

実は経費(損金)になる租税公課

・社会保険の延滞金
・従業員から天引きした住民税の督促手数料
・固定資産税の督促手数料
など

社会保険の延滞金は、所得税と法人税の条文上、経費(損金)にならないものに定めがないため、経費(損金)とすることができます。

また、住民税や固定資産税などの支払いが遅れた場合に支払う督促手数料は、延滞金と一緒に支払う場合があるため、延滞金の一部と思われるかもしれませんが、これは督促状を発送したことによる行政手数料と考えられるため、経費(損金)とすることができます。
勘定科目としては、支払手数料でも良いかと思います。

※督促手数料に係る消費税の取り扱いについては、消費税法上の法令に基づく役務提供に該当するため、非課税取引となりますのでご注意ください。

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