固定資産を事業割合で按分した場合の少額判定

こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。

フリーランスの場合、取得した資産について「事業用部分」と「家事用部分」の両方があるときは、「事業用部分」だけが経費の対象となります。

少額減価償却資産(30万円未満)の判定や、償却資産申告への計上金額は、どの部分が該当するのでしょうか?

今回は、事業割合で按分するときの取得価額判定についてのお話です。

【この記事でわかること】
・事業割合での按分とは
・少額減価償却資産の判定
・償却資産申告への計上金額
・税込経理と税抜経理

事業割合での按分とは

フリーランスの場合、資産や経費を、プライベートにも事業にも使うことがあります。

例えばパソコンを購入した場合、
・事業割合80%
・家事割合20%
とすることにより、70%部分を事業経費に計上します。
(割合の決め方については割愛します。)

購入金額が35万円だった場合、
350,000円×80%=280,000円
と計算することができ、28万円を固定資産(器具備品)として計上します。

<減価償却の仕訳>
350,000×0.25(定額法4年)=87,500
87,500×80%=70,000
※差額は事業主処理
(減価償却)70,000 / (器具備品)87,500
(事業主貸)17,500

他には、自動車の購入・携帯電話代・水道光熱費などが、按分対象になることが多い項目です。

少額減価償却資産の判定

少額減価償却資産の判定は、取得価額が30万円未満かどうかで判断します。

30万円未満であれば、減価償却にするか全額経費にするか、選択することができます。

先ほどのパソコンの例だと、35万円の事業部分(80%)は28万円となりますが、28万円を基準に少額減価償却資産の判定を行うことができるかが迷いどころです。

結論は、按分する前の取得価額(総額)で判定します。

(取得価額の判定単位)
措置法通達28の2-2
措置法第28条の2第1項に規定する少額減価償却資産の取得価額が30万円未満であるかどうかについては、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定する。(平15課個2-25、課審4-39追加)

少し分かりにくいですが、つまり少額減価償却資産の30万円判定は、取得価額(35万円)ごとに判定するものであり、そこに事業割合云々は関係しません。

したがって、流れとしては下記のようになります。
取得価額の総額で30万円判定

30万円以上であれば資産計上(減価償却)
30万円未満であれば資産計上(減価償却)or全額経費(少額減価償却資産)

事業割合にて取得価額を按分

償却資産申告への計上金額

事業用の資産を一定金額以上持っていると、その資産(償却資産)に対して固定資産税(償却資産税)が課税されます(ただし、課税標準額の合計が150万円未満であれば免税となります)。

所得税の減価償却計算で事業割合部分を経費としている場合、償却資産申告書へ記載する資産の取得価額は、総額なのか按分後価額なのか、疑問が生じます。

結論は、こちらも按分する前の取得価額(総額)を償却資産として記載します。

例えば藤岡市のホームページには、このような記載があります。

群馬県藤岡市 固定資産税(償却資産)に関するQ&A(藤岡市ホームページ)

Q22.家庭用にも事業用にも使用している備品等は、償却資産に該当しますか
備品等が家庭用にのみ使用されている場合は償却資産に該当しませんが、事業用にも使用されている限りは償却資産に該当します。これは、事業用に使用される割合が家庭用に使用される割合よりも小さい場合であっても同様です。

Q23.所得税の減価償却費計算で、事業割合分を減価償却費として計上し申告していますが、固定資産税(償却資産)の申告においても、同様に申告してよいですか
固定資産税ではひとつの資産を課税される部分と課税されない部分に区分して取り扱うことができません。たとえば、所得税の申告において事業割合30%として取得価額の30%を基に減価償却費の計算をしている場合でも、固定資産税(償却資産)の申告では取得価額の100%での申告が必要です。

税込経理と税抜経理

消費税の課税事業者は、消費税の税込経理又は税抜経理にて日々の経理を行います。

税込経理とは、消費税込みで会計処理する方法です。
(器具備品)385,000 / (現金預金)385,000

税抜経理とは、消費税抜きで会計処理する方法です。
(器具備品)350,000 / (現金預金)385,000
(仮払消費)  35,000

例えば税込385,000円のパソコンを購入した場合、
・税込経理→385,000円
・税抜経理→350,000円
で計上することとなります。

償却資産申告書への記載も、税込経理であれば税込ベースで記載し、税抜経理であれば税抜ベースで記載します。

また、取得価額の10万円未満・20万円未満・30万円未満の判定についても、税込経理であれば税込ベースで判定し、税抜経理であれば税抜ベースで判定します。

税込経理・税抜経理や、少額減価償却資産、一括償却資産の詳細については、過去の記事をご参照ください。
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