役員報酬を外貨で支払う場合の取扱いについて

こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。

今回は、役員報酬を外貨で支払う場合のお話です。

会社によっては、外国人の役員に対して外貨で役員報酬を支払うケースがあります。

しかし、為替レートの変動により、円換算すると毎月の支給額が同額とはなりません。

その場合、定期同額給与に該当するのかどうか?

簡単に解説していきます。

定期同額給与の損金算入要件

役員に対して支給される各支給時期において支給額が同額である給与については、定期同額給与に該当し、損金の額に算入することができます。

(役員給与の損金不算入)
法人税法第三十四条
内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)

外貨で支払う場合

定期同額給与として取り扱うためには、各支給時期における支給額が同額であることが要件とされますが、この場合の「同額」とは、円換算した金額までも同額であることを求めるものではありません。

したがって、例えば毎月外貨ベースで5,000ドルを支給することとしているのであれば、定期同額給与に該当することになります。

国税庁の質疑応答事例でも、そのように回答しています。

外貨で支払う役員報酬(定期同額給与)
【照会要旨】
当社は、米国人の役員に対して、米ドル建てで給与を支給することとしており(毎月10,000米ドル)、当該役員に対して毎月10,000米ドルを支払っています。毎月の給与を外貨建てで支給することとしている場合、為替レートの変動により、円換算した毎月の支給額は同額とならないため、当該役員に対する給与は、定期同額給与には該当しないこととなりますか。
【回答要旨】
お尋ねの給与は定期同額給与に該当します。
(理由)
① 役員に対して支給する定期給与(その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであるものをいいます。)で各支給時期における支給額が同額であるものは、定期同額給与として、これを支給する法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されます(法法34①一)。
② このように定期同額給与に該当するためには、各支給時期における支給額が同額であることが必要となりますが、ここでいう同額とは、支給額を円換算した金額が同額であることまで求めるものではありません。お尋ねの場合、毎月の給与を米ドル建てで支給することとし(毎月10,000米ドル)、毎月、そのとおりに同額(10,000米ドル)の給与を支給していますので、お尋ねの給与は定期同額給与に該当することとなります。
【関係法令通達】
法人税法第34条第1項第1号
注記
令和3年8月1日現在施行の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

国税庁HP「外貨で支払う役員報酬(定期同額給与)」より
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/11/21.htm

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