ブックオフでの売却代金も申告する必要があるのか?

こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。
今回は、不要になった本などをブックオフで売ったときの取扱いについて解説したいと思います。
たまに個人事業主のお客様から質問があるところで、売却代金の申告の有無が論点となります。

結論

要らなくなった本やCDをブックオフで売ったときの売却代金は、基本的に所得税法上非課税となりますので、申告は不要です。
所得税法上非課税なので、「給与の他に20万円超(✖以上)の所得があると申告が必要」という議論はそもそも生じません。

解説

基本的な考え方

本やCDなど、通常の生活で使っていたものを売却した場合、原則として非課税となります(所得税法第9条1項9号)。

その本やCDなどのことを、税法用語では「生活に通常必要な動産」といいます。

ただし、価値が30万円を超えるような高価なものを売却した場合には、非課税の対象外となるケースがあるので注意が必要です。

非課税の対象外になるものは、例えば下記のようなものです(所得税法施行令第25条)。
・宝石
・貴金属
・真珠製品
・象牙製品
・書画骨董
・工芸品  など

(非課税所得)
所得税法第九条
次に掲げる所得については、所得税を課さない。
九 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)
所得税法施行令第二十五条
法第九条第一項第九号(非課税所得)に規定する政令で定める資産は、生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。
一 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
二 書画、こつとう及び美術工芸品
上記のような物品を売却した場合には、譲渡所得の確定申告が必要となります。

「生活に通常必要な動産」の逆の場合

カンの鋭い方は、
「じゃあ、必要の逆で、生活に不必要なものを売った場合は申告が必要になるんじゃない!?」
という疑問を持たれると思います。
その考え方は正しいです。
裏を返せば、生活に通常必要でないものを売却した場合には、申告が必要となるケースがあります。
申告が必要となるケースは、例えば下記のようなものを売却した場合です。
・趣味や娯楽などで所有する資産(コレクター品、ゴルフ会員権など)
・30万円を超える貴金属  など
その場合、給与の他に20万円を超える所得があれば、確定申告が必要となります。
(生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)
所得税法施行令第百七十八条
法第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。
一 競走馬(その規模、収益の状況その他の事情に照らし事業と認められるものの用に供されるものを除く。)その他射こう的行為の手段となる動産
二 通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産(前号又は次号に掲げる動産を除く。)
三 生活の用に供する動産で第二十五条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)の規定に該当しないもの
(確定所得申告を要しない場合)
所得税法第百二十一条
その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この項において「給与等」という。)の金額が二千万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。ただし、不動産その他の資産をその給与所得に係る給与等の支払者の事業の用に供することによりその対価の支払を受ける場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。
一 一の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条(給与所得に係る源泉徴収義務)又は第百九十条(年末調整)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額の合計額(以下この項において「給与所得及び退職所得以外の所得金額」という。)が二十万円以下であるとき

メルカリで売却した場合の取扱い

最近は便利な世の中で、メルカリやヤフオクなど、ネット上で取引ができる仕組みがあります。
使用したことのある方は多いのではないでしょうか?

ブックオフもメルカリも考え方は同じで、結局は「生活に通常必要」なものかどうかで判断します。
したがって、所得税法上非課税に該当すれば、申告は不要ということになります。

ただし、メルカリやヤフオクなどの場合、
・安く買い付けて高く売ることを目的としている(営利目的)
・毎月のように反復継続的に取引が行われている
というケースが稀にあります。

このような場合には、商売として行っているとみなされ、「事業所得」又は「雑所得」として確定申告が必要となります。

厳密な基準がないため判断が難しいところですが、例えば、
・2ヶ月に1回のペースでメルカリの収入がある
・メルカリの年間収入が20万円を超えている
というケースであるならば、私なら雑所得にて確定申告を行うと思います。

あとがき

今回は例に挙げませんでしたが、個人事業主の方の場合、車の売却には注意が必要です。

例えば事業割合が80%の場合、
・80%部分は譲渡所得(総合譲渡)として計算
・20%部分は非課税(生活に通常必要なもの)
に分けて計算する必要があります。

事業割合が80%の場合、減価償却費も80%となりますし、すべてにおいて事業部分だけで計算すると認識しておけばよいでしょう。

先週、ブックオフで本を売ったら、合計3,610円で売れました。
思いのほか高く売れて嬉しかったので、今回はこのテーマで書いてみました。

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