こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。
今回は、「未払費用」と「未払金」についてのお話です。
フリーランスにしろ法人にしろ、決算時に未払いの経費が出てくるケースはよくあります。
その場合、支払っていなくてもその期に対応させるべきものは未払いとして経費計上することになります。
ここで迷うのが、「未払費用」と「未払金」をどのように使い分けるのか?
そもそも、使い分ける必要があるのかどうか?
そのあたりの論点について、簡単に解説していきます。
♦未払費用と未払金の共通点
♦未払費用と未払金の違い
♦税金の計算上は厳密な区別は不要
♦フリーランスで家事按分が必要な場合
未払費用と未払金の共通点
未払費用と未払金の共通点は、「まだ支払っていない代金」という部分です。
何か物を購入したけどまだ未払いであったり、サービスを受けたけどまだ未払いであるケースは、事業を行っているとよくあることです。
その際に、未払いとして固定資産や経費を計上して、その期の正しい損益を計算します。
また、未払費用も未払金も、貸借対照表の「負債」に計上します。
未払費用と未払金の違い
未払費用とは
未払費用とは、
「継続的に提供を受けるサービスで、すでに提供を受けたサービスに対して、支払期日が到来していないため、まだ支払いがされていないもの」
をいいます。
例えば、
・地代家賃で、翌月支払の契約のもの
・支払リース料で、翌月支払の契約のもの
などが該当します。
企業会計原則に照らし合わせると、
①一定の契約があること
②同じサービス内容が継続されていること
③すでにサービスを受けていること
④まだ支払いがされていないもの
これらを満たした場合に、未払費用として計上することになります。
注目すべき点としては、未払費用は継続的に受ける役務(サービス)の提供を対象としており、物品の購入は未払費用とすることを想定していません。
<企業会計原則>
損益計算書原則(損益計算書の本質)
前払費用及び前受収益は、これを当期の損益計算から除去し、未払費用及び未収収益は、当期の損益計算に計上しなければならない。(注5)企業会計原則注解([注5]経過項目勘定について)
未払費用
未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴いすでに当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、未払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。
未払金とは
未払金とは、
「すでに物品を購入して債務が確定しているが、まだ支払いがされていないもの」
「継続的に提供を受けるサービスで、すでに提供を受けたサービスに対して、支払期日が到来しているが、まだ支払いがされていないもの」
をいいます。
例えば、
・消耗品の購入で、支払いが翌月のもの
・車両の購入で、支払いが翌月のもの
・単発の役務提供で、支払が翌月のもの
などが該当します。
ちなみに、仕入などの営業取引によって発生した債務については、未払金ではなく「買掛金」で処理します。
税金の計算上は厳密な区別は不要
結論から言ってしまえば、フリーランスにしろ法人にしろ、税金計算上はまったく影響ありません。
なぜならば、未払費用も未払金も、負債勘定だからです。
例えば、地代家賃で翌月支払の契約のものだった場合、
(地代家賃)50,000円/(未払費用)50,000円
でも、
(地代家賃)50,000円/(未払金)50,000円
でも、
地代家賃50,000円は変わりませんので、損益(課税所得)に違いはありません。
ただし、まったく区分しないのは会計上良くないと思いますので、例えば、
・継続的な支払いに関するものは「未払費用」
・単発のサービスや物品購入に関するものは「未払金」
で区分し、毎期同様の基準で処理しておけば良いと思います。
神経質になって厳密に区分することよりも、毎年同じ基準で処理することのほうが大事です。
フリーランスで家事按分が必要な場合
個人事業の場合には、支払う予定の金額全てを経費に出来ないケースがあります。
例えば、300,000円のパソコンを購入し、事業割合が80%だった場合、購入時は、
(器具備品)240,000/(未払金)300,000
(事業主貸)60,000
となります。
支払時には、
(未払金)300,000/(現金預金)300,000
となります。
ここでの注意点は、購入時に80%部分のみで処理しないようにする必要があります。
(器具備品)240,000/(未払金)240,000
この処理をしてしまうと、支払時に未払金が上手く消えなくなってしまうので、未払金は購入代金で計上するようにしましょう。
ちなみに、上記の例だと事業部分の器具備品が30万円未満となるため、少額減価償却資産として全額経費にできそうですが、少額の判断基準はあくまでも購入代金ですので、注意が必要です。
詳しくは、過去の記事をご参照ください。