婚約指輪は贈与税の対象になる!?

こんにちは!
サラリーマン税理士りゅうです。

今回は結婚指輪のお話です。

私も何年か前に婚約指輪を奥さんに贈ったのですが、
お恥ずかしい話、税理士なのに贈与税の論点がスポッと抜けており、なにも気にかけることなくプレゼントしました。汗

婚約指輪をあげると税金がかかるの!?
と思われた方、あまり気にしなくて大丈夫です。

婚約指輪と贈与税の関係を、解りやすく解説します。

結論

一般的な感覚で婚約指輪をプレゼントする場合には、基本的に贈与税はかかりません。

ただし、自分の年収の10倍くらいするような婚約指輪を贈る場合は、贈与税の対象になる可能性があります。

贈与税の仕組み

個人が年間(1/1~12/31)で合計110万円を超えるようなお金やモノをもらった場合、「贈与税」という税金が発生します。
もらった場合にかかる税金なので、贈与税を納める人は、あくまでもお金やモノをもらった人です。
合計を赤くした理由ですが、贈与税の原則は「暦年単位課税」と「受贈者単位課税」という考え方に基づいて計算するからです。

暦年単位課税」とは、1/1から12/31の1年間を単位として、その1年間にもらったお金やモノの合計額により贈与税を計算するルールのことをいいます。
受贈者単位課税」とは、あげた人(贈与者)の金額それぞれで110万円を判断するのではなく、もらった人(受贈者)の合計額で判断するルールのことをいいます。
例えば、同じ年にお父さんとお母さんから100万円ずつもらった場合、お父さんからの100万円≦110万円と、お母さんからの100万円≦110万円で判断するのではなく、もらった人の合計200万円>110万円で判断します。

110万円というのは、法律(相続税法21条の5、租税特別措置法70条の2の4)に規定されていて、110万円までならお金やモノをもらっても税金がかからない(この110万円のことを税金の法律用語で「基礎控除」といいます)という仕組みになっています。

例えば、その年に80万円のお金をもらった場合、
800,000円-1,100,000円=△300,000円→0円
となり、税金はかからないことになります。

じゃあ、110万円を超えるような婚約指輪をもらうと、贈与税がかかるの!?
いえいえ、基本的にはかかりません!

「相続税法21条の5」では、基礎控除は60万円(課税価格から60万円を控除する)と規定されています。
では、先ほどから出てくる110万円とはいったい何なのか?
それは、「租税特別措置法70条の2の4」で基礎控除の特例として、「相続税法21条の5」にかかわらず110万円を控除する、と定められています。
ただし、租税特別措置法という法律は時限立法(一時的な政策として制定された法律)ですので、有効期限が到来すれば当然効力が失効します。
(贈与税の基礎控除)
第二十一条の五 贈与税については、課税価格から六十万円を控除する。
(贈与税の基礎控除の特例)
第七十条の二の四 平成十三年一月一日以後に贈与により財産を取得した者に係る贈与税については、相続税法第二十一条の五の規定にかかわらず、課税価格から百十万円を控除する。この場合において、同法第二十一条の十一の規定の適用については、同条中「第二十一条の七まで」とあるのは、「第二十一条の七まで及び租税特別措置法第七十条の二の四(贈与税の基礎控除の特例)」とする。
2 前項の規定により控除された額は、相続税法その他贈与税に関する法令の規定の適用については、相続税法第二十一条の五の規定により控除されたものとみなす。

社会通念上相当と認められる金額の婚約指輪は贈与税がかからない

税金のルールには、法律の他に「基本通達」という課税庁(国税局や税務署など)の内部規定があります。

我々税理士も、法律ではカバーしきれない部分については、その基本通達を参考にすることが多々あります。

相続税基本通達21-3-9に、『社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い』という項目があり、その中に「祝物」というフレーズが出てきます。

(社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い)
21の3-9 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。(昭50直資2-257改正、平15課資2-1改正)

婚約指輪はこの「祝物」に該当すると考えられるため、「社会通念上相当と認められる」金額であれば、贈与税はかかりません。

では、「社会通念上相当と認められる」金額とは、いくらなのでしょうか?

これについては、実は答えがありません。

年収500万円の人が頑張って150万円の婚約指輪をプレゼントする場合は「社会通念上相当」と思われますし、年収3,000万円の人が500万円の婚約指輪をプレゼントする場合も「社会通念上相当」だと思われます。
年収100万円の人が、1,000万円の婚約指輪をプレゼントする場合はどうでしょうか?この場合だと「社会通念上相当」とは言い難いです。

以上のことから、結論です。
一般的な感覚として、すごく高額な指輪でない限り、贈与税はかからないものと考えるのが妥当です。

 

※この記事は2019年10月時点のものです。当サイトのご利用は自己責任にてお願いいたします。

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