こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。
今回は、通勤手当のお話です。
会社勤めの場合、基本給とは別に「通勤手当」が支給されることがあります。
基本的には定期代など実費分が支給されますが、マイカー通勤の場合には距離や出勤日数等を基に支給されることがあります。
この「通勤手当」は、基本的に所得税法上非課税となりますが、上限額が規定されており、それを超えると超えた部分が課税扱いとなりますので、注意が必要です。
♦交通手段による非課税限度額
♦非課税限度額を超えた場合の取扱い
通勤手当は基本的に非課税
役員や従業員に対して、給与に加算して支給される通勤手当は、一定の限度額まで非課税となっています。
公共交通機関の他に、マイカーや自転車を利用している場合に支給される通勤手当についても、一定の限度額までは非課税となっています。
(非課税所得)
所得税法第九条
次に掲げる所得については、所得税を課さない。
五 給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの
非課税の範囲
非課税とされる通勤手当は、交通手段によって限度額が異なります。
具体的には、
(1)電車やバスを利用する場合(所令20の2㊀㊂)
(2)マイカーや自転車を利用する場合(所令20の2㊁)
(3)電車やバスの他にマイカーや自転車などを利用する場合((1)+(2))(所令20の2㊃)
に分けられます。
(非課税とされる通勤手当)
所得税法施行令第二十条の二
法第九条第一項第五号(非課税所得)に規定する政令で定めるものは、次の各号に掲げる通勤手当(これに類するものを含む。)の区分に応じ当該各号に定める金額に相当する部分とする。
一 通勤のため交通機関又は有料の道路を利用し、かつ、その運賃又は料金(以下この条において「運賃等」という。)を負担することを常例とする者(第四号に規定する者を除く。)が受ける通勤手当(これに類する手当を含む。以下この条において同じ。) その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額(一月当たりの金額が十五万円を超えるときは、一月当たり十五万円)
二 通勤のため自動車その他の交通用具を使用することを常例とする者(その通勤の距離が片道二キロメートル未満である者及び第四号に規定する者を除く。)が受ける通勤手当 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ その通勤の距離が片道十キロメートル未満である場合 一月当たり四千二百円
ロ その通勤の距離が片道十キロメートル以上十五キロメートル未満である場合 一月当たり七千百円
ハ その通勤の距離が片道十五キロメートル以上二十五キロメートル未満である場合 一月当たり一万二千九百円
ニ その通勤の距離が片道二十五キロメートル以上三十五キロメートル未満である場合 一月当たり一万八千七百円
ホ その通勤の距離が片道三十五キロメートル以上四十五キロメートル未満である場合 一月当たり二万四千四百円
ヘ その通勤の距離が片道四十五キロメートル以上五十五キロメートル未満である場合 一月当たり二万八千円
ト その通勤の距離が片道五十五キロメートル以上である場合 一月当たり三万千六百円
三 通勤のため交通機関を利用することを常例とする者(第一号に掲げる通勤手当の支給を受ける者及び次号に規定する者を除く。)が受ける通勤用定期乗車券(これに類する乗車券を含む。以下この条において同じ。) その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による定期乗車券の価額(一月当たりの金額が十五万円を超えるときは、一月当たり十五万円)
四 通勤のため交通機関又は有料の道路を利用するほか、併せて自動車その他の交通用具を使用することを常例とする者(当該交通用具を使用する距離が片道二キロメートル未満である者を除く。)が受ける通勤手当又は通勤用定期乗車券 その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額又は定期乗車券の価額と当該交通用具を使用する距離につき第二号イからトまでに定める金額との合計額(一月当たりの金額が十五万円を超えるときは、一月当たり十五万円)
(1)電車やバスを利用する場合
電車やバスを利用して通勤する場合の非課税となる限度額は、1か月あたり15万円となっています。
ただし、どんな経路や方法でもOKということではなく、「通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額」と国税庁ホームページのタックスアンサーNo.2582に記載されています。
「最も経済的かつ合理的な経路及び方法」は、新幹線を利用した場合の運賃も含まれますが、グリーン車の料金は含まれないので注意が必要です。
(新幹線通勤の場合の非課税とされる通勤手当)
所得税基本通達9-6の3
令第20条の2に規定する「その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額」には、新幹線鉄道を利用した場合の運賃等の額も含まれるものとする。(平14課法8-5、課個2-7、課審3-142追加)
(注) 「最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額」の中には、令第167条の3第1 項第1号に規定する「特別車両料金等」は含まれないことに留意する。
(2)マイカーや自転車を利用する場合
マイカーや自転車を利用して通勤する場合の非課税となる限度額は、片道の通勤距離に応じて一定額まで非課税となっています。
片道の通勤距離 | 1か月当たりの限度額 |
---|---|
2キロメートル未満 | (全額課税) |
2キロメートル以上10キロメートル未満 | 4,200円 |
10キロメートル以上15キロメートル未満 | 7,100円 |
15キロメートル以上25キロメートル未満 | 12,900円 |
25キロメートル以上35キロメートル未満 | 18,700円 |
35キロメートル以上45キロメートル未満 | 24,400円 |
45キロメートル以上55キロメートル未満 | 28,000円 |
55キロメートル以上 | 31,600円 |
国税庁HP タックスアンサーNo.2585より
(3)電車やバスの他にマイカーや自転車などを利用する場合
電車やバスの他にマイカーや自転車を利用して通勤する場合の非課税となる限度額は、次の①と②の合計が1か月あたり15万円となっています。
①電車やバスを利用する場合の、1か月間の通勤定期券などの金額
②マイカーや自転車を利用する場合の、片道の通勤距離に応じた1か月間あたりの非課税限度額
この場合の限度額は、「(1)電車やバスを利用する場合」と、「(2)マイカーや自転車を利用する場合」の合計額が、15万円以下であるかどうかで判定します。
限度額を超える場合
上記の方法によって非課税限度額を超える場合には、超える部分の金額が給与として課税ます。
したがって、超える部分の金額については月の給与額に加算されて、その合計額を基に源泉所得税が計算されることとなります。