こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。
最近の住宅ローン金利はとても低く、変動金利は1%(中には0.4%)を切ることが当たり前の状況です。
昔にローンを組んだ人や、固定金利で組んだけど変動金利に変えたい人は、より低金利の住宅ローンへの借換えを検討することも家計の見直しの一つだと思います。
ただし、住宅ローン控除を受けている人の場合、借換えによって控除額に影響を及ぼす可能性があります。
今回は、住宅ローンを借り換えた場合に、住宅ローン控除にどのような影響があるかのお話です。
・借換え後も住宅ローン控除を受けられるのか
・借換えを行った場合のローン年末残高の計算
・借換え後の住宅ローン控除の注意点
借換え後も住宅ローン控除を受けられるのか
結論からいうと、下記2点の要件さえ満たせば可能です。
<要件1>
新しく組んだ住宅ローンが、当初の住宅ローンの返済に充てることが明らかであること。
<要件2>
新しく組んだ住宅ローンが、住宅ローン控除の対象となる要件を満たしていること。
・控除を受けようとする人の合計所得金額が3,000万円以下
・返済期間(借換え後)が10年以上
・住宅の床面積が50㎡以上 など
住宅ローンの借換えによる新しい住宅ローンは、当初の住宅ローンを返済するための新たな借入金であるため、原則的には住宅ローン控除の対象とななりません。
ただし、上記の要件を満たした場合に限り、住宅ローン控除を受けることができると「措置法通達41-16」に定められています。
(借入金等の借換えをした場合)
措置法通達41-16
新築等(敷地の取得を含む。以下この項、41-20及び41-32において同じ。)又は増改築等に係る借入金又は債務(以下この項及び41-21において「当初の借入金等」という。)の金額を有している場合において、当該当初の借入金等を消滅させるために新たな借入金を有することとなるとき(以下41-19及び41-21において「借入金等の借換えをした場合」という。)は、当該新たな借入金が当初の借入金等を消滅させるためのものであることが明らかであり、かつ、当該新たな借入金を新築等又は増改築等のための資金に充てるものとしたならば措置法第41条第1項第1号又は第4号に規定する要件を満たしているときに限り、当該新たな借入金は同項第1号又は第4号に掲げる借入金に該当するものとする。(昭61直所3-18、直法6-11、直資3-6追加、昭63直所3-21、直法6-11、平3課所4-8、平6課所4-3、平8課所4-11、平11課所4-11、課法8-8、課評2-10、平13課個2-31、平15課個2-7、平15課個2-7、課審3-7、平19課個2-13、課資3-3、課法9-7、課審4-28、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7改正)
借換えを行った場合のローン年末残高の計算
計算パターン
借換えによる新たな住宅ローンが住宅ローン控除の対象となる場合には、次の算式により住宅ローンの年末残高を計算します。
A=借換え直前における当初の住宅ローン残高(借換前残高)
B=借換えによる新たな住宅ローンの借入額(借換金額)
C=借換えによる新たな住宅ローン年末残高(借換後年末残高)
(1)A≧B ∴C
(2)A<B ∴C×A/B
具体例
A=借換え直前における当初の住宅ローン残高→2,300万円
B=借換えによる新たな住宅ローンの借入額→2,500万円
C=借換えによる新たな住宅ローン年末残高→2,400万円
2,300万円(A)<2,500万円(B)
2,400万円(C)×2,300万円(A)/2,500万円(B)=2,208万円
22,080,000円×1%=220,800円
新たな借入額が借換前残高を超えるので、新たな住宅ローンの年末残高を住宅ローン控除の計算でそのまま使うことができません。
今後住宅ローン控除が終わるまで、年末残高を「借換前残高/新たな借入額」で按分することになります。
借換え後の住宅ローン控除の注意点
返済期間は10年以上
借換えによる新たな住宅ローンについても、住宅ローン控除を受けるためには返済期間が10年以上必要です。
例えば6年目に借換えを行った場合、借換前返済期間5年+借換後返済期間5年=10年ということではありません。
借換前の返済期間が5年あったとしても、借換えによる新たな住宅ローンの返済期間が10年以上ないと住宅ローン控除を受けることができません。
住宅ローン控除期間は延長されない
住宅ローン控除を受けられる期間は10年間(場合によっては13年間)であり、借換えを行ったからといって控除期間は延長されません。
例えば、6年目に借換えを行った場合、1~5年目までは借換前の年末残高を基に住宅ローン控除を計算し、6~10年目については新たな金額を基に計算します。
借換前5年分+借換後10年分=15年間とはなりませんので、ご注意ください。
年末調整に間に合わない場合
年末に近い時期に借換えを行うと、住宅ローンの残高証明書の発行が年末調整に間に合わない場合があります。
早い会社だと11月には提出期限が来てしまいますので、その場合は自分で確定申告を行わなければなりません。