確定申告を行った後に医療費の領収書が出てきてしまった場合

こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。

個人の確定申告が終わり、3月決算5月申告の法人決算が終わり、ホッと一息ついているところです。

そんな中、お客様から確定申告時に医療費控除をやり忘れていたので、税金を取り戻したいとの連絡がありました。

今回は、更正の請求(税金を取り戻す手続き)と、更正の請求で医療費控除を行う場合の注意点について、簡単に解説します。

【この記事でわかること】
♦更正の請求の内容
♦更正の請求で医療費控除を受ける場合の注意点

更正の請求とは

更正の請求とは、国税庁のによると「確定申告期限後に申告書に書いた税額等に誤りがあったことを発見した場合や確定申告をしなかったために決定を受けた場合などで、申告等をした税額等が実際より多かったときに正しい額に訂正することを求める場合の手続です。」と記載があります。

簡単に言うと、本来支払うべき税金よりも多く納税していたり、本来受けるべき還付額よりも少なく申告していた場合に、税金を取り戻すために行う手続きです。

更正の請求が認められる期間は、法定申告期限から5年以内となります。

具体的には、法定申告期限の翌日から5年間となりますので、例えば令和4年3月15日が法定申告期限の所得税申告であれば、
令和4年3月16日から令和9年3月15日
が更正の請求の期限となります。

国税庁「更正の請求の改正のあらまし」↓
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(更正の請求)
国税通則法第二十三条
納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき
二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純損失等の金額の記載がなかつたとき。
三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき
2 納税申告書を提出した者又は第二十五条(決定)の規定による決定(以下この項において「決定」という。)を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、同項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間において、その該当することを理由として同項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をすることができる。
一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき その確定した日の翌日から起算して二月以内
二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき 当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して二月以内
三 その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき 当該理由が生じた日の翌日から起算して二月以内
3 更正の請求をしようとする者は、その請求に係る更正前の課税標準等又は税額等、当該更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。
5 更正の請求があつた場合においても、税務署長は、その請求に係る納付すべき国税(その滞納処分費を含む。以下この項において同じ。)の徴収を猶予しない。ただし、税務署長において相当の理由があると認めるときは、その国税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。
6 輸入品に係る申告消費税等についての更正の請求は、第一項の規定にかかわらず、税関長に対し、するものとする。この場合においては、前三項の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは、「税関長」とする。
7 前二条の規定は、更正の請求について準用する。

更正の請求により医療費控除を受ける場合

確定申告で医療費控除の適用を受けよとする場合、「医療費控除の明細書」の添付が必要であり、領収書の添付や提示は不要となっています。(ただし、明細書の記入内容の確認のため、確定申告期限から5年間は税務署から領収書の提示又は提出を求められることがありますので、領収書の保管が必要です。)

しかし、更正の請求で医療費控除の適用を受けようとする場合、領収書の添付が必要となるので注意が必要です。

これは、国税通則法施行令に規定されており、更正の請求を行う場合には「事実を証明する書類」を添付しなければなりません。

ここでいう「事実を証明する書類」とは、申告者が作成する「医療費控除の明細書」ではなく、「領収書又は医療費通知書」のことを指します。

国税庁HPからダウンロードできる「所得税及び復興特別所得税の更正の請求・書き方」の書き方部分の3番目にも、「事実を証する書類を添付」と記載されています。

(更正の請求)
国税通則法施行令第六条
法第二十三条第二項第三号(更正の請求)に規定する政令で定めるやむを得ない理由は、次に掲げる理由とする。
一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等(法第十九条第一項(修正申告)に規定する課税標準等をいう。以下同じ。)又は税額等(同項に規定する税額等をいう。以下同じ。)の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた行為の効力に係る官公署の許可その他の処分が取り消されたこと。
二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に係る契約が、解除権の行使によつて解除され、若しくは当該契約の成立後生じたやむを得ない事情によつて解除され、又は取り消されたこと。
三 帳簿書類の押収その他やむを得ない事情により、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき帳簿書類その他の記録に基づいて国税の課税標準等又は税額等を計算することができなかつた場合において、その後、当該事情が消滅したこと。
四 わが国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約に規定する権限のある当局間の協議により、その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等に関し、その内容と異なる内容の合意が行われたこと。
五 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に係る国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈が、更正又は決定に係る審査請求若しくは訴えについての裁決若しくは判決に伴つて変更され、変更後の解釈が国税庁長官により公表されたことにより、当該課税標準等又は税額等が異なることとなる取扱いを受けることとなつたことを知つたこと。
2 更正の請求をしようとする者は、その更正の請求をする理由が課税標準たる所得が過大であることその他その理由の基礎となる事実が一定期間の取引に関するものであるときは、その取引の記録等に基づいてその理由の基礎とな事実を証明する書類法第二十三条第三項の更正請求書に添付しなければならない。その更正の請求をする理由の基礎となる事実が一定期間の取引に関するもの以外のものである場合において、その事実を証明する書類があるときも、また同様とする。

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