病気等による役員報酬の減額後、回復したことにより支給額を元に戻す場合(議事録ひな形あり)

こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。

今回は、病気等が原因で期中に減額した役員報酬を、回復後に支給額を元に戻すことは可能かどうか?について、簡単に解説します。

以前、病気等による役員報酬の減額について記事を書きましたので、ご参照ください。

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【この記事で分かること】
♦やむを得ない事情による減額改定
♦回復したことにより元に戻す場合
♦臨時株主総会議事録のひな形(例)

やむを得ない事情による減額改定

役員報酬が定期同額給与として認められる改定事由には、
①事業年度開始の日から3ヶ月以内の改定
②役員の職制上の地位の変更、職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情による改定(臨時改定事由)
③経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由による改定(業績悪化改定事由)
の3つがあります。(法人税法施行令第69条1項1号)

(定期同額給与の範囲等)
第六十九条
法第三十四条第一項第一号(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める給与は、次に掲げる給与とする。
一 法第三十四条第一項第一号に規定する定期給与(以下第六項までにおいて「定期給与」という。)で、次に掲げる改定(以下この号において「給与改定」という。)がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
イ 当該事業年度開始の日の属する会計期間(法第十三条第一項(事業年度の意義)に規定する会計期間をいう。以下この条において同じ。)開始の日から三月(法第七十五条の二第一項各号(確定申告書の提出期限の延長の特例)の指定を受けている内国法人にあつては、その指定に係る月数に二を加えた月数)を経過する日(イにおいて「三月経過日等」という。)まで(定期給与の額の改定(継続して毎年所定の時期にされるものに限る。)が三月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にあつては、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定
ロ 当該事業年度において当該内国法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(第四項第二号及び第五項第一号において「臨時改定事由」という。)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(イに掲げる改定を除く。)
ハ 当該事業年度において当該内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(第五項第二号において「業績悪化改定事由」という。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限り、イ及びロに掲げる改定を除く。)

社長が病気等により職務執行が難しくなった場合には、②の「役員の職制上の地位の変更、職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情による改定(臨時改定事由)」に該当するものと考えられます。

国税庁の「役員給与に関するQ&A(平成20年12月)(平成24年4月改訂)」でも、
『役員が病気で入院したことにより当初予定されていた職務の執行が一部できないこととなった場合に、役員給与の額を減額することは臨時改定事由による改定と認められます。』
『職制上の地位の変更はないものの、これまで行ってきた役員としての職務の一部を遂行することができなくなったという事実が生じており、職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情があったものと考えられますので、臨時改定事由による改定に当たり、定期同額給与に該当することとなります。』
という回答がされています。

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回復したことにより元に戻す場合

病気等により役員報酬を減額したあと、従前と同様の職務執行が可能となった場合、役員報酬を元に戻せるのでしょうか?

答えは、「可能」です。

職務執行が難しくなった場合に減額が認められるのと同様に、従前と同様の職務執行が可能となった場合にも「役員の職制上の地位の変更、職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情による改定(臨時改定事由)」であると考えられます。

国税庁の「役員給与に関するQ&A(平成20年12月)(平成24年4月改訂)」でも、
『従前と同様の職務の執行が可能となった場合に、入院前の給与と同額の給与を支給することとする改定も臨時改定事由による改定と認められます。』
という回答がされています。

臨時株主総会議事録のひな形(例)

回復後のパターンの議事録を作成したので、参考にしてみてください。

臨時株主総会議事録

令和○年○月○日午前11時00分より、当会社の本店において、臨時株主総会を開催した。

発行済株式総数     500株
議決権のある株主総数   2名
この議決権の総数    500個
出席株主数(委任状も含む)2名
この議決権の総数    500個

以上のとおり出席があったので、定款の規定により、取締役○○ ○○ は議長席につき、総会は適法に成立した旨を述べ、開会を宣し、ただちに議事に入った。

議案 取締役の報酬改定の件

議長は、取締役 ○○ ○○ の病気治療に伴い、業務に復帰する相当期間、役員報酬の支給を停止していたが、従前と同様の職務の執行が可能となったため、支給停止前と同額の役員報酬を支給したい旨を述べ、議場に諮ったところ、全員一致をもって承認可決した。
なお、役員報酬の支給は、令和○年○月○日より適用するものとする。

以上をもって本日の議事を終了したので、午前11時20分、議長は閉会を宣した。
上記の決議を明確にするため、本議事録を作成し、出席取締役全員がこれに記名押印する。

令和○年○月○日

株式会社○○ 臨時株主総会

議長 代表取締役 ○○ ○○ 印
取締役 ○○ ○○ 印

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