消費税を払っているという勘違い

こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。

今回は、普段買い物をするときの消費税のお話です。

消費税が10%に上がってから2年以上経ちました。

108円だったものが110円となり、少し残念な気持ちになった人も少なくないと思います。

ところでこの110円の10円部分、消費税を払っていると思いますか?

一般的な感覚としては、「当たり前だろ!」と思われるかもしれませんが、厳密に言うとそれは消費税ではありません。

この点について、簡単に解説します。

消費税の納税義務者

消費税を支払う人(納税義務者)は、消費税法で明確に規定されています。

納税義務は、下記の4つを満たす事業者に対して発生します。
国内において行われるものであること
事業者が事業として行うものであること
対価を得て行われるものであること
資産の譲渡・貸付・役務提供であること

(納税義務者)
消費税法第五条
事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある
(定義)
消費税法第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
八 資産の譲渡等
事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。
九 課税資産の譲渡等
資産の譲渡等のうち、第六条第一項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう。
したがって、普通に買い物をする一般消費者は消費税の納税義務者ではないため、直接消費税を払うことはありません。

レシートの内容

レシートの消費税

それでは、レシートに記載されている「消費税」とは、一体何を指すのでしょうか?

これは、ザックリ言うと、「購入商品の代金の一部」ということになります。

通常、所得税などの税金は、「法律で定められた納税義務者=税金の経済的負担者」という構図です。

つまり、納税義務者が直接自分自身の税金を支払っており(直接税)、通常イメージするのはこちらだと思います。

しかし消費税は、経済的負担者は購入者ですが、納税義務者は事業者であるため(間接税)、購入者が直接消費税を負担しているわけではなく、あくまでも購入代金の一部(消費税相当額)を支払っているにすぎません。

事業者が消費税を納税するために、消費税相当額分を上乗せして販売しているとイメージすると、分かりやすいかもしれません。

事例

税込605円のペンを購入した場合、内容は下記の通りです。

商品代金税抜:550円
消費税相当額:55円  支払額605円

では、例えば「10%還元セール」が行われた場合、どうなるのでしょうか。

大々的に「消費税の還元」と広告することは禁止されているので「消費税」という文言は入ってませんが、感覚的には消費税分が還元されることと同じです。

その考えに基づくと、下記のようなイメージとなります。

商品代金税抜:550円
消費税相当額:55円△55円(550×10%)=0円 支払額550円

上記のイメージだと、購入者は消費税相当額を負担していないので、納税義務者である事業者は消費税を納めなくても問題ないように感じます。

しかし、この考え方は間違えで、実際の計算は下記のようになります。

商品代金税抜:500円
消費税相当額:50円  支払額550円

つまり、
605円△55円=550円(税込)
550円×100/110=500円(税抜)
550円△500円=50円or500円×10%=50円(消費税相当額)
という計算となり、あくまでも値引き後の550円の中に50円の消費税相当額が含まれていると考えます。

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