こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。
今回は、令和3年度税制改正で退職所得の計算方法が見直されましたので、簡単に解説します。
改正後の算式は、一見分かりにくいので、分解して解説します。
退職所得の基本的な考え方は、こちらの記事をご参照ください。
【この記事で分かること】
♦改正前の計算方法
♦改正後の計算方法
♦退職所得控除の計算方法
♦改正前の計算方法
♦改正後の計算方法
♦退職所得控除の計算方法
目次
改正前の計算方法
従業員
従業員の退職所得の計算方法は、勤続年数に関係なく以下の算式により計算します。
(収入金額△退職所得控除額)×1/2=退職所得
役員
役員の退職所得の計算方法は、勤続年数が5年超か5年以下かで算式が異なります。
5年以下の場合、「2分の1課税」の適用がありません。
【5年超】
(収入金額△退職所得控除額)×1/2=退職所得
【5年以下】
収入金額△退職所得控除額=退職所得
改正後の計算方法
従業員
改正後の従業員の退職所得の計算方法は、勤続年数が5年超か5年以下かで算式が異なります。
5年超の場合は、従来の計算方法と同様です。
5年以下の場合は、収入金額から退職所得控除額を控除した残額が300万円以下か300万円超かで、計算方法が異なります。
【5年超】
(収入金額△退職所得控除額)×1/2=退職所得
【5年以下】
(1)収入金額△退職所得控除額≦300万円の場合(従来と同様)
(収入金額△退職所得控除額)×1/2=退職所得
(2)収入金額△退職所得控除額>300万円の場合
150万円(※1)+{収入金額△(300万円+退職所得控除額)}(※2)
(※1)300万円以下部分の退職所得:「2分の1課税」適用アリ
→300万円以下部分×1/2=150万円
→300万円以下部分×1/2=150万円
(※2)300万円超部分の退職所得:「2分の1課税」適用ナシ
→(収入金額△300万円以下部分)=300万円超部分
→300万円超部分△退職所得控除額
→(収入金額△300万円以下部分)=300万円超部分
→300万円超部分△退職所得控除額
役員
役員の退職所得の計算方法は、改正前の計算方法と同様です。
5年以下の場合、「2分の1課税」の適用がありません。
計算例
・従業員
・勤続年数5年
・退職金550万円
・勤続年数5年
・退職金550万円
収入金額△退職所得控除額>300万円 ∴300万円超部分「2分の1課税」適用ナシ
(1)300万円以下部分
300万円×1/2=150万円
300万円×1/2=150万円
(2)300万円超部分
退職金550万円△300万円=250万円
250万円△退職所得控除額200万円(※)=50万円
(※)退職所得控除額=40万円×勤続年数5年=200万円
退職金550万円△300万円=250万円
250万円△退職所得控除額200万円(※)=50万円
(※)退職所得控除額=40万円×勤続年数5年=200万円
(3)退職所得
(1)+(2)=200万円
(1)+(2)=200万円
分解すると上記のような算式となりますが、1行の算式で表すと、
150万円+{550万円△(300万円+200万円)}=200万円
となります。
150万円+{550万円△(300万円+200万円)}=200万円
となります。
退職所得控除額の計算方法
退職所得控除額の計算方法は、
・20年以下→40万円×勤続年数(最低80万円)
・20年超→800万円(※)+70万円×(勤続年数△20年)
(※)40万円×20年
で計算します。