こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。
今回は、事業で使用する車両を購入した場合の会計処理と注意点について解説します。
♦車両購入時の基本的な会計処理
♦税込経理と税抜経理による固定資産計上額の違い
♦中古であった場合の減価償却・耐用年数の取扱い
♦リサイクル預託金の取扱い
♦自賠責保険料の一括経費計上の可否
基本的な会計処理
車両を購入した場合には、下記のような項目が記載されています。
・車両本体価格
・オプション、付属品価格
・自動車税
・自動車重量税
・自賠責保険料
・資金管理料
・リサイクル預託金
・法定費用(車庫証明手数料など)
・手続代行費用
他にも記載があるかもしれませんが、基本的には上記の項目が主だと思います。
これらの項目について会計処理を行う場合、下記の勘定科目を使用します。
・車両本体価格+オプション、付属品価格→車両運搬具(固定資産)
・自動車税→租税公課
・自動車重量税→租税公課
・自賠責保険料→保険料
・資金管理料→支払手数料、雑費など
・リサイクル預託金→リサイクル預託金(投資その他の資産)
・法定費用(車庫証明手数料など)→支払手数料、雑費など(消費税は非課税)
・手続代行費用→支払手数料、雑費など
車両本体やリサイクル預託金は資産項目となり、その他は費用項目となります。
消費税の経理方法による車両価格の違い
消費税の経理方法が「税込経理」か「税抜経理」かで、車両価格の固定資産台帳に計上する金額が変わってきます。
「税込経理」の場合は、税込の金額を計上し、減価償却も税込金額をベースに行っていきます。
「税抜経理」の場合は、税抜の金額を計上し、減価償却も税抜金額をベースに行っていきます。
車両が中古であった場合
購入車両が新車か中古車かで、減価償却の償却年数が変わってきます。
基本的には、中古車である場合には償却年数が短くなり、新車よりも減価償却費を早く計上できるため、短期的にみると節税効果があると考えられます。
中古車の減価償却についての詳細は、下記の記事をご参照ください。
リサイクル預託金の取扱い
リサイクル預託金については、車両購入時には資産勘定(消費税非課税)に計上されます。
このリサイクル預託金は、その車両を売却や除却するまでずっと計上したままにしておきます。
売却等をした場合は、リサイクル預託金も譲渡することになりますが、消費税の注意点として、譲渡したリサイクル預託金の譲渡価額の5%相当額を課税売上割合の計算に使用しますので、ご注意ください。
(課税売上割合の計算方法)
消費税法施行令第四十八条
法第三十条第六項に規定する政令で定めるところにより計算した割合は、第一号に掲げる金額のうちに第二号に掲げる金額の占める割合とする。
一 当該事業者が、当該課税期間中に国内において行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。以下この条及び第五十三条第三項第一号において同じ。)の対価の額(法第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項において同じ。)の合計額から、当該課税期間中に国内において行つた資産の譲渡等に係る対価の返還等の金額(資産の譲渡等につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該資産の譲渡等の対価の額の全部若しくは一部の返還又は当該資産の譲渡等の対価の額に係る売掛金その他の債権の額の全部若しくは一部の減額をした金額をいう。)の合計額を控除した残額
二 当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第五十三条第三項第二号において同じ。)の対価の額の合計額から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額を控除した残額
イ 課税期間中に行つた法第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額(当該課税期間中に行つた第十九条に規定する輸出取引等に係る対価の返還等の金額を含む。)
ロ 課税期間中に行つた法第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に七十八分の百を乗じて算出した金額
5 事業者が法別表第一第二号に規定する有価証券(第九条第二項に規定するゴルフ場利用株式等を除く。)並びに同条第一項第一号及び第三号に掲げる権利(以下この項において「有価証券等」という。)の譲渡をした場合(当該譲渡が第二項第三号に掲げる現先取引債券等の譲渡又は第三項に規定する現先取引債券等の売戻しに該当する場合を除く。)又は同条第一項第四号に掲げる金銭債権(資産の譲渡等を行つた者が当該資産の譲渡等の対価として取得したものを除く。以下この項において同じ。)の譲渡をした場合には、当該譲渡に係る第一項第一号に規定する資産の譲渡等の対価の額は、当該有価証券等又は金銭債権の譲渡の対価の額の百分の五に相当する金額とする。
自賠責保険料の取扱い
自賠責保険料については、通常2~3年分の保険料を前払いするため、短期前払費用の特例は適用できません。
短期前払費用の特例の詳細については、下記の記事をご参照ください。
法人税基本通達2-2-14
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加、昭61年直法2-12「二」により改正)
(注)例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。所得税基本通達37-30の2
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下この項において同じ。)の額はその年分の必要経費に算入されないのであるが、その者が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する年分の必要経費に算入しているときは、これを認める。(昭55直所3-19、直法6-8追加)
ただし、自賠責保険料については、その性質を考慮して、実務上は支払ったときに一括で経費計上が行われています。
法令や通達に明記されていませんが、下記のような性質から、会計処理に一貫性(支出時に一括計上するなど)があれば、国税からは指摘を受けないようです。
①保険契約がが義務付けられて(強制されて)いること
②保険料を支払わなければ車検が受けられないこと
③保険期間は最長でも3年、金額も僅少、租税公課と同様の性質であること
したがって、短期前払費用の特例の要件は満たしませんが、一括で経費処理を行います。