こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。
事業主の方であれば、「中古車を買うと節税になる」という話を聞いたことがあるかもしれません。
今回は、中古車の節税について解説します。
・中古車の耐用年数の仕組みと節税の効果
・定率法の方が有利の可能性
・中古車の減価償却の計算例
中古車の耐用年数の仕組みと節税の効果
通常、新品自動車の耐用年数は6年(排気量0.66ℓ以下は4年)ですが、中古車の場合は経過年数に応じて耐用年数が短くなります。
耐用年数が短くなれば、1年に落とせる経費も当然増えますので、節税に効果的です。
耐用年数の6年を経過しているかしていないかで、計算方法が異なりますので、ご注意ください。
耐用年数(6年)を経過していないの中古車の場合
中古車を購入した場合の耐用年数の計算は、以下の算式となります。
例えば、2年2か月落ちの中古車の場合、耐用年数は以下のように計算します。
ちなみに、2年2か月のように、1年未満の端数がある場合には、年を月に直すとスムーズに計算できます。
51.2か月→年換算4年3.2か月→4年(1年未満切捨て)
※2年未満の場合は2年となります。
耐用年数(6年)を経過している中古車の場合
耐用年数(6年)の全部を経過している場合の耐用年数の計算は、以下の算式となります。
※2年未満の場合は2年となります。
定率法が有利の可能性
耐用年数2年の中古車は定率法が有利か
法人の場合の法定償却方法は「定率法」ですが、フリーランスの法定償却方法は「定額法」です。
「定率法」は、初年度が一番償却額が大きくて、だんだんと小さくなっていくイメージです。
「定額法」は、毎年同じ償却額を計上するイメージです。
ただし、2年の償却の場合、「定率法」だと初年度に100%を償却額として計算することができます。
例えば、7年落ちの中古車の場合は耐用年数が2年と計算されますので、
100万円の中古車を買ったときは、償却初年度に100万円の減価償却費を計算します。
ちなみに、「定額法」で計算した場合は、初年度に50%、2年目に50%の償却となります。
2100_02耐用年数
参考:国税庁ホームページ【タックスアンサー(所得税)No.2100 減価償却のあらまし】
注意点①:月数按分
中古資産の耐用年数により計算する場合についても、期中取得の月数按分が必要になります。
つまり、フリーランスが「定率法」を採用したとしても、12月に中古車を購入した場合には、「×1/12」をしなければなりません。
その場合、
①初年度に×1/12
②翌年に×11/12
という月数按分が必要となります。
注意点②:届出書・申請書の提出
フリーランスが「定率法」で計算するためには、「減価償却資産の償却方法の届出書」又は「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を税務署へ提出する必要があります。
「減価償却資産の償却方法の届出書」は、事業開始初年度に提出する届出書であり、提出期限は、資産を取得した年分の確定申告の提出期限まで(令和2年分の申告の場合は、令和3年3月15日まで)となっています。
「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」は、2年目以降に、既に選定している償却方法(法定償却方法)を変更する場合に提出する申請書であり、提出期限は、変更しようとする年の3月15日まで(令和2年分の申告の場合は、令和2年3月15日まで)となっています。
なお、届出書及び申請書の提出期限が土日祝に当たる場合は、これらの日の翌日が提出期限となります。
「減価償却資産の償却方法の届出書」→設立第1期の確定申告書の提出期限まで
「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」→新たに償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日まで
となります。
中古車の減価償却の計算例
取得価額:2,000,000円
耐用年数:6年
経過年数:2年2か月
償却方法:定額法
取得日:8月
決算日:12月
①耐用年数の計算
72か月(6年)-26か月(2年2か月)+26か月(2年2か月)×20%=51.2か月
51.2か月→年換算4年3.2か月→4年(1年未満切捨て)
※4年の定額法償却率:0.25
②減価償却費の計算
2,000,000円(取得価額)×0.25(4年定額法償却率)=500,000円
500,000円×5/12(8~12月の5か月)=208,333円