ドローンの耐用年数について

こんにちは!
サラリーマン税理士のりゅうです。

今回は、ドローンの耐用年数のお話です。

ドローンについては、耐用年数省令に具体的な例示がなく、耐用年数の判断に迷うことがあります。

今回は、別表に例示がない資産の中でもドローンに着目して、その判断について検討していきます。

【この記事で分かること】
♦ドローンの耐用年数の考え方
♦「器具及び備品」耐用年数の注意点

資産の判定

ドローンは空を飛ぶ機会になりますので、ドローンの資産の種類の判定については、「航空機」「機械及び装置」「器具及び備品」が想定されます。

「航空機」

「航空機」に該当するかどうかの判定について、税法上の「航空機」とは、航空法第2条第1項(「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器をいう。)に規定するものとされており、無人であるドローンは「航空機」に該当しないこととなります。

(定義)
航空法第二条
1 この法律において「航空機」とは、人が乗つて航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器をいう。
22 この法律において「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。

「機械及び装置」

「機械及び装置」に該当するかどうかの判定について、映像制作会社等がドローンを使用して撮影するような場合には、本来の事業のために使用していると判断することができるため、別表第二の「㊲映像、音声又は文字情報制作業用設備」として耐用年数「8年」に該当することとなります。

「器具及び備品」

「器具及び備品」に該当するかどうかの判定について、建設業が空中から写真撮影を行うような場合には、本来の事業に付随して使用されているものと判断されるため、別表第一の「光学機器及び写真製作機器ーカメラ、映画撮影機、映写機及び望遠鏡」として耐用年数「5年」に該当することになります。

また、使用目的が別表第一「構造又は用途」の細目に記載がない場合や、使用目的が明確ではない場合には、「⑪前掲のもの以外のものーその他のもの」として、その細目が「主として金属製のもの(10年)」か「その他のもの(5年)」かで耐用年数を判定します。

「器具及び備品」の注意点

「前掲の区分によらないもの」の基本的な考え方

耐用年数表の「構造又は用途」を見ると、各資産の最後のほうに「前掲の区分によらないもの」という記載があります。

耐用年数表の「器具及び備品」の最後のほうにも記載がありますが、簡単にいうと「金属製→15年」「その他→8年」というように、細かく分けることはせず、2つのみで区分する特例的な方法が認められています。

この場合、「①家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品」から「⑪前掲のもの以外のもの」により詳細に区分を行っている場合には、「⑫前掲する資産のうち、~」を使用することができないというのが基本的な考え方です。

つまり、基本的には、①~⑪により詳細に区分するか、⑫により2つにザックリ区分するか、どちらかに統一させる必要があります。
(とはいえ、⑫でザックリ区分することは、ほぼないと思いますが・・・。)

「器具及び備品」における「前掲の区分によらないもの」考え方

基本的には上記の考え方となりますが、「器具及び備品」の場合には、取扱いが異なります。

「器具及び備品」では、「⑫前掲する資産のうち、当該資産について定められている前掲の耐用年数によるもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」という区分となり、
・前半の「前掲する資産のうち、当該資産について定められている前掲の耐用年数によるもの以外のもの」
・後半の「前掲の区分によらないもの」
に分解できます。

前半の意味合いとしては「①~⑪として区分したもの以外のもの」となるため、詳細に区分したものについてはその区分の耐用年数を使用することができるということになります。(それ以外は2つにザックリ区分)

後半の意味合いについては、基本的な考え方通りとなり、2つにザックリ区分した耐用年数を使用するということになります。

結論として、「器具及び備品」に関しては、詳細に区分している部分についてはその耐用年数に従い、それ以外や「前掲の区分によらないもの」の方法を採用する場合には2つにザックリ区分するという良いとこ取りができるような取扱いになっています。

ただし、同じ品目の資産が複数ある場合については、その品目で耐用年数を統一する必要がありますのでご注意ください。

【参考】耐用年数省令別表一「器具及び備品」
⑪前掲のもの以外のものーその他のもの
・主として金属製のもの・・・10年
・その他のもの・・・5年
⑫前掲する資産のうち、当該資産について定められている前掲の耐用年数によるもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの
・主として金属製のもの・・・15年
・その他のもの・・・8年
耐用年数の適用等に関する取扱通達
(前掲の区分によらない資産の意義等)
1-1-6
別表第一又は別表第二に掲げる「前掲の区分によらないもの」とは、法人が別表第一に掲げる一の種類に属する減価償却資産又は別表第二の機械及び装置について「構造又は用途」、「細目」又は「設備の種類」ごとに区分しないで、当該一の種類に属する減価償却資産又は機械及び装置の全部を一括して償却する場合のこれらの資産をいい、別表第一に掲げる一の種類に属する減価償却資産又は別表第二の機械及び装置のうち、その一部の資産については区分されて定められた耐用年数を適用し、その他のものについては「前掲の区分によらないもの」の耐用年数を適用することはできないことに留意する。
ただし、当該その他のものに係る「構造又は用途」、「細目」又は「設備の種類」による区分ごとの耐用年数の全てが、「前掲の区分によらないもの」の耐用年数より短いものである場合には、この限りでない。(平23年課法2-17「一」により改正)
(器具及び備品の耐用年数の選択適用)
1-1-7
器具及び備品の耐用年数については、1-1-6にかかわらず、別表第一に掲げる「器具及び備品」の「1」から「11」までに掲げる品目のうちそのいずれか一についてその区分について定められている耐用年数により、その他のものについて一括して「12前掲する資産のうち、当該資産について定められている前掲の耐用年数によるもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」の耐用年数によることができることに留意する。
(前掲する資産のうち当該資産について定められている前掲の耐用年数によるもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの)
2
-7-1
「12前掲する資産のうち、当該資産について定められている前掲の耐用年数によるもの以外のもの」とは、器具及び備品について「1家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品」から「11前掲のもの以外のもの」までに掲げる細目のうち、そのいずれか一についてはその区分に特掲されている耐用年数により、その他のものについては一括して償却する場合のその一括して償却するものをいい、「前掲の区分によらないもの」とは、「1」から「11」までの区分によらず、一括して償却する場合のそのよらないものをいう。
(注)1-1-7参照
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